研究開発のためインドネシアやマレーシアの蚊を育てる係員=広島県廿日市市のフマキラー工場で 夏の風物詩・蚊取り線香や蚊帳が、アジアやアフリカなどに活躍の場を広げている。殺虫効果は高いが人体にやさしい点が、日本発の「蚊取りビジネス」の強みだ。蚊に刺されると病気を招きかねない常夏の国で需要が拡大しており、現地に新工場を建設するなどメーカーは対応に追われている。(鳴澤大) 赤道直下のインドネシア。フマキラー(東京)は日本と同じ渦巻き型の蚊取り線香(10巻き入り1箱で20円程度)を販売している。日本では売り上げは横ばいだが、常夏のインドネシアは「販売シーズンが日本の4倍」(下中正博・海外本部長)と、90年に進出した。 当初は外資系メーカーが強く、売れ行きは芳しくなかった。しかし、広島県廿日市市の工場にアジアから蚊を取り寄せて研究。蚊を落とす力が強くても人にはやさしい製品を投入した。05年度のインドネシアでの蚊取り線香の売り上げは、02年度の1.4倍。市場占有率(シェア)も17%の3位に浮上した。お隣のマレーシアでも蚊取り線香のシェアが6割に達するなど好調で、下中本部長は「次に狙うのはインド」と話す。 「金鳥」ブランドの大日本除虫菊(大阪市)は戦前、約80カ国で蚊取り線香を販売していた。上山久史専務は「『金鳥の夏、世界の夏』だった」という。戦後は国内市場に軸足を移したが、60年のタイに続いて96年には中国へ再び進出。有望なのは電池式蚊取り器で「今後は最先端の商品を世界で売る」という。 サハラ砂漠以南のアフリカ諸国などでは、樹脂に殺虫成分を練り込んだ住友化学の蚊帳が重宝されている。中国とベトナム、タンザニアにある工場の生産能力を増やす予定だ。 (7月22付朝刊)